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セルフメディケーションの対象となる眼の疾患とOTC
OTCでは、数多くの飲み薬に加えて、多くの目薬があります。今回はOTCの対応となる眼の疾患を見ていきます。
受診勧奨すべき眼の疾患
受診勧奨すべき眼の疾患には以下のようなものがあります。
- 白内障;水晶体が濁り、眼が霞んだり、視力が低下する
- 緑内障;眼圧があがり視神経が障害されて、視野の一部が欠ける
- 網膜剥離;網膜がはがれて視力が低下する。目の前に蚊が飛んで見える前兆が起こることも
- 加齢黄斑変性症;黄斑部分に障害が起こり、視界の中心部が見えにくくなったり、物がゆがんで見えたりする
これらの疾患が疑われる時は、受診勧奨すべきでしょう。逆にOTCでセルフメディケーション対応な眼の疾患には、眼瞼炎、雪目、眼の乾き、結膜炎、眼精疲労などがあります。
眼の乾き
眼の乾きは涙の量が減ることで、眼の表面が乾いて障害が起こります。
眼の違和感や疲労感などから始まり、眼がゴロゴロしたり、しょぼしょぼしたり、赤くなったり、霞んだり、見えづらくなったり、痛くなったりなどの症状が起こります。
眼の乾きの原因には以下のようなものがあります。
- 涙の減少;涙の分泌には男性ホルモンが関わり、特に中高年の女性は男性ホルモンが減少しやすい
- まばたきの減少;長時間のパソコンやテレビ、車の運転など
- 眼の乾きやすい環境;エアコンやコンタクトレンズの長時間使用
- 基礎疾患;シェーグレン症候群など
眼の乾きに使われるOTCの成分
人口涙液
- 無機塩類、増粘成分、アミノ酸類などを配合し、自然の涙に近い形に調整している
眼精疲労
眼精疲労は休んでもなかなか回復せず、全身に様々な症状を引き起こします。眼の症状に加えて、頭痛、肩こり、めまい、吐き気などの症状が起こることもあります。
眼精疲労の原因には以下のようなものがあります。
- 眼に負担を与える作業;パソコンや、自分にあわない眼鏡を使うなど
- 基礎疾患;緑内障など
眼精疲労に使われるOTCの成分
ネオスチグミン
- 毛様体の筋肉に作用し、眼の調節機能の低下を防ぐ
- 閉塞隅角緑内障には要注意
ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンE
- ビタミンB12は調節性眼精疲労の微動調節を改善
- ビタミンB6は眼の新陳代謝を促進
- ビタミンEは組織に栄養を補給
L-アスパラギン酸、タウリン
- L-アスパラギン酸は細胞の働きを活性化
- タウリンは眼の新陳代謝を促進
充血
充血は結膜充血と毛様充血にわけられます。
結膜充血は異物などによって結膜に炎症が起こり、血管が拡張して主に白目部分が充血します。目やにや涙、眼が赤くなるなどの症状があります。
毛様充血は胸膜や毛様体に炎症が起こり、主に角膜周辺が充血します。目やには出ず、眼が青紫色のように充血します。
このうちOTCの対応になるのは結膜充血となります。
結膜充血に使われるOTCの成分
ナファゾリン、テトラヒドロゾリン
- 拡張した血管を収縮し、眼の充血を抑える
- 交感神経刺激作用により散瞳が起こる可能性あり
硫酸亜鉛、グリチルリチン酸、アラントイン
- 起炎物質の抑制、損傷治癒の促進、収れん作用などがある
クロルフェニラミン
- ヒスタミン受容体に拮抗するため、特にアレルギー性結膜炎による充血に有効
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アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストが原因となり、眼のかゆみ、眼の充血、目やに、涙が止まらなくなる、まぶたの腫れなどが起こります。
アレルギー性結膜炎に使われるOTCの成分
クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン
- ヒスタミン受容体に拮抗して、ヒスタミンの作用を抑える
クロモグリク酸、ペミロラスト、トラニラスト
- ケミカルメディエーターの遊離抑制
プラノプロフェン
- 炎症性物質の生成を抑制
麦粒腫、細菌性結膜炎
麦粒腫はものもらいとも呼ばれ、皮脂腺やマイボーム戦にブドウ球菌などの細菌が感染して起こります。麦粒腫はまぶたが赤く腫れて痛みを伴い、進行すると膿の塊ができる場合があります。
細菌性結膜炎は細菌が目に感染して、結膜に炎症を起こします。原因菌はブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などです。細菌性結膜炎の症状は、眼の充血や粘性の黄色い目やにが出たりします。
麦粒腫や細菌性結膜炎に使われるOTCの成分
スルファメトキサゾール
- 原因菌の増殖を抑制
雪目
雪目は雪山や海で強い太陽光(紫外線)を浴びたりすることによって、角膜の表面が傷つく状態のことです。雪目の症状は、まぶしさや目の痛みによって目があけられない状態になったり、眼が充血し涙が止まらなくなったりします。
雪目に使われるOTCの成分
硫酸亜鉛
- 消炎作用や、収れん作用がある
使用上の注意
患者からよくある相談に、コンタクトレンズをつけている場合はどうすればいいのかというものがあります。
点眼薬に含まれる成分や防腐剤は、コンタクトレンズに吸収される可能性があるため、効果が落ちたり、悪影響を与えることがあります。コンタクトレンズの中でも特にソフトコンタクトレンズはベンザルコニウム塩化物などの防腐剤を吸着しやすいです。
そのため点眼する時は、コンタクトレンズをいったん外して点眼をして、5分後にコンタクトレンズをつけ直すようにするのが一般的です。点眼薬によっては、コンタクトレンズをつけたまま使用できるものもあるので、添付文書を確認するのがよいでしょう。
まとめ
- 眼瞼炎、雪目、眼の乾き、結膜炎、眼精疲労などがOTCでセルフメディケーション対応が可能
- コンタクトレンズの場合は、いったん外して点眼し、5分後につけ直す。
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