前回のビタミンCの働き、多く含む食品、薬との併用のまとめではビタミンCについて見ました。今回からはミネラルを見ていきます。今回は亜鉛です。
亜鉛
食べ物にある亜鉛は、約30%が小腸で吸収されて肝臓に運ばれます。そして約60%は筋肉に、約30%は骨に、残りは肝臓、膵臓、腎臓、脳、皮膚、前立腺などに存在しています。
亜鉛は生体内の様々な反応に関わっていますが、中でも以下の3つへの関わりが大きいです。
- 発育の促進;アミノ酸からのタンパク質の再合成、DNAの合成、ホルモンの合成や分泌の調整に関わる
- 傷の回復;活性酸素を除去する酵素の構成成分
- 味覚の正常維持;味覚を感じる細胞である味蕾は亜鉛を豊富に含む
よって、亜鉛が欠乏すると、生体に必要なものが作られなくなったり、味覚障害等が起こる可能性があります。
亜鉛の過剰症
急性亜鉛中毒では、胃障害、めまい、吐き気などが起こると言われています。
亜鉛を多く含む食品
以下の食品は亜鉛を多く含むと言われています。
- 動物性;カキ、パルメザンチーズ、豚の肝臓、牛肉
- 植物性;ココア、抹茶、いりごま、凍り豆腐、アーモンド
亜鉛は動物性食品に多く含まれているため、植物性食品より動物性食品を摂取した方が効率よく摂取できます。また動物性食品にある動物性たんぱく質が亜鉛の吸収によい影響を与えるともいわれています。
亜鉛と薬の相互作用
亜鉛と相互作用を起こす薬の代表例には以下のようなものがあります。
- テトラサイクリン系抗生物質;難溶性のキレートを形成、亜鉛と投与薬剤の吸収が阻害されるおそれ
- キノロン系抗生物質;難溶性のキレートを形成、亜鉛と投与薬剤の吸収が阻害されるおそれ
- ビスホスホネート製剤;難溶性のキレートを形成、亜鉛と投与薬剤の吸収が阻害されるおそれ
- エストラサイト(エストラムスチン);難溶性のキレートを形成し、効果を減弱させるおそれ
- メタライト(トリエンチン) ;難溶性のキレートを形成し、効果を減弱させるおそれ
- メタルカプターゼ(ペニシラミン) ;難溶性のキレートを形成し、効果を減弱させるおそれ
- レボレード(エルトロンボパグ) ;難溶性のキレートを形成し、効果を減弱させるおそれ
- ノベルジン(酢酸亜鉛);亜鉛を含むため、併用すると効果が増強されるおそれ
- プロマック(ポラプレジンク) ;亜鉛を含むため、併用すると効果が増強されるおそれ
まとめ
- 亜鉛が欠乏すると、生体に必要なものが作られなくなったり、味覚障害等が起こる可能性がある
- 亜鉛と薬でキレートを作るものがあるため併用には注意が必要