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タバコと薬の相互作用、テオドール(テオフィリン)に気をつけよう
タバコは好き嫌いがわかれる嗜好品で、吸う人は吸うだろうし、吸わない人は吸わないと思います。ちなみに私は吸いません。
タバコに火をつけると、約4000種類の化学物質が発生すると言われていて、代表的なものには、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、タール、ニコチン等があります。
ニコチン
ニコチンは自律神経の興奮や遮断作用を持ちます。自律神経系は神経細胞を交代しながら、目的の臓器にたどり着きますが、これらの神経細胞と神経細胞の間には、神経節と呼ばれるところがあります。
ニコチンは自律神経節において、少量であればニコチン受容体を刺激しますが、大量であればニコチン受容体を遮断します。
少量のニコチン
交感神経
- 血管;収縮
- 汗腺;分泌増加
副交感神経
- 心臓;心拍数減少
- 瞳孔括約筋;収縮(縮瞳)
- 毛様体筋;収縮(眼内圧下降)
- 唾液腺;分泌増加
- 消化管;運動亢進
- 排尿筋;収縮
大量のニコチン
交感神経
- 血管;拡張
- 汗腺;分泌減少
副交感神経
- 心臓;心拍数増加
- 瞳孔括約筋;弛緩(散瞳)
- 毛様体筋;弛緩(眼内圧上昇)
- 唾液腺;分泌抑制
- 消化管;運動低下
- 排尿筋;弛緩
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タバコと薬の相互作用
タールなどの物質は、薬物代謝酵素であるCYP1A2やCYP2E1などのチトクロームP450を誘導します。よって、その薬物代謝酵素で代謝される薬の一部は影響を受けます。
タバコと薬の相互作用が起こりうるものには以下のようなものがあります。
- テオドール(テオフィリン);CYP1A2を誘導し、テオフィリンの分解が早まり効力低下
- コントール(クロルジアゼポキシド);機序不明
- セルシン(ジアゼパム);機序不明
- バイアスピリン(アスピリン);アスピリンの抗血液凝固作用を抑制
- ソセゴン(ペンタゾシン);薬物代謝酵素が誘導され、血中濃度低下
- トリプタノール(アミトリプチリン);薬物代謝酵素が誘導され、血中濃度低下
- ジプレキサ(オランザピン);CYP1A2を誘導し、オランザピンの分解が早まり効力低下
- インデラル(プロプラノロール);CYP1A2を誘導し、プロプラノロールの分解が早まり効力低下
- キシロカイン(リドカイン);薬物代謝酵素が誘導され、血中濃度低下
- インスリン;ニコチンがカテコールアミンの遊離を促進し、グリコーゲンの分解を促進するため、インスリンの必要量が増える
- 経口避妊薬;心血管系のイベントが増大するため、35歳以上で15本以上の喫煙は禁忌
特にテオドール(テオフィリン)は、患者背景としてタバコを吸っている患者が多いため注意が必要です。
禁煙はできればいいことに間違えないですが、急な禁煙をしてしまうと今度はテオドール(テオフィリン)の分解がなくなり、血中濃度が高まります。血中濃度が高まれば、テオフィリン中毒の危険性があります。そのため血中濃度のモニタリングをし、医師と相談しながら禁煙していくことが望ましいです。
まとめ
- タバコは火をつけると、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、タール、ニコチンなどの物質を生じる。
- ニコチンは、少量ではニコチン受容体を刺激するが、大量ではニコチン受容体を遮断する。
- タバコは薬物代謝酵素を誘導するため、テオドール(テオフィリン)などの一部の薬は影響を受ける。
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