せん妄の要因と予防

せん妄の要因と予防

せん妄の評価基準にCAMがあります。せん妄を予防するには促進因子(疼痛、便秘、尿閉、脱水、拘束、睡眠、明るさ、騒音など)に介入することが重要となります。

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せん妄の要因と予防

認知症を鑑別するのにあたって、紛らわしいものの1つにせん妄があります。合併する場合もあるので難しいですが今回はせん妄についてみていきたいと思います。

 

 

せん妄のアセスメント

せん妄とは様々な原因によって起こる意識障害です。具体的にせん妄の症状としては認知障害、幻覚、妄想などがあり、これらは認知症でも起こりうる症状なため専門医以外で見分けることが難しいです。

 

せん妄のイメージは木を考えるとわかりやすいです。

 

 

根などの下の部分を脳や全身と考えると、幹の部分が意識となります。そして幹の上の部分の葉や枝の部分は意欲、思考、知覚、気分、認知、記憶などとなります。せん妄はこの木のうち、幹の部分である意識のところにヒビが入ります。

 

幹の部分である意識のところにヒビが入った結果、それより上の部分である葉や枝の部分である意欲、思考、知覚、気分、認知、記憶も障害されて様々な症状が起こります。

 

様々な症状を起こす一方、意識という観点で外側から見ると注意障害という症状しか見えないのでせん妄の鑑別は専門医以外では難しいのです。せん妄を考えるにあたって、以下のようにアセスメントしていくことが重要です。

 

  1. 注意力は保たれているか
  2. 記憶力は保たれているか
  3. 気分は正常か

 

 

CAM

CAMは、the Confusion Assessment Methodの略でキャムと呼ばれるせん妄の評価基準の1つです。CAMは以下のような項目からなります。

 

  1. 急性発症と変動性の経過(患者の精神状態は通常時と比べて急激な変化があったか、異常行動は日内で変動するか)
  2. 注意散漫(患者は他のことに気を取られやすいか、話を理解することが難しいかなど)
  3. 支離滅裂な思考(患者が無関係な話をしたり、筋の通らない考え方をするかなど)
  4. 意識レベルの変化(意識清明でないか)

 

これらの項目のうち1、2は必須で3、4があるとせん妄と判断します。

 

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せん妄の要因

せん妄の要因は以下のようなものがあると考えられています。

 

  • 直接因子(引き金になる)
  • 準備因子(起こりやすい要因)
  • 促進因子(促進させる)

 

これらの要因はよく焚火に例えられていて、せん妄自体は焚火の火、直接因子はライター、準備因子は薪、促進因子は油となります。

 

 

直接因子(引き金になる)

直接因子には以下のようなものがあります。

 

  • 身体疾患
  • 薬物
  • 手術

 

準備因子(起こりやすい要因)

準備因子には以下のようなものがあります。

 

  • 高齢
  • 認知機能障害
  • 重篤な身体疾患
  • 頭部疾患の既往
  • せん妄の既往
  • アルコールの多飲
  • 侵襲度の高い手術の前

 

促進因子(促進させる)

促進因子には以下のようなものがあります。

 

  • 身体的要因(疼痛、便秘、尿閉、脱水、不動化、ドレーン、拘束、視力低下、聴力低下)
  • 睡眠(不眠、睡眠関連障害)
  • 精神要因(不安、抑うつ)
  • 環境変化(入院、明るさ、騒音)

 

直接因子や準備因子は患者自身が元々持っているものなどがあり言ってしまえば防ぐことが困難な要因と言えます。それに対して促進因子は医療従事者が介入することができるので、せん妄を予防するには促進因子に力をいれることが重要と言えます。

 

まとめ

  • せん妄は意識障害がもととなり、認知症に似たような症状が起こる
  • せん妄の評価基準にCAMがある
  • せん妄を予防するには促進因子に介入することが重要

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