健康被害救済制度と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

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健康被害救済制度と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

前回の薬害の原因と対策では、薬害についてみました。薬害は健康被害だけでなく、経済的にも被害者に影響を与えます。今回はそれらに対応するPMDAについてみていきたいと思います。

 

 

健康被害救済制度

PMDAの前に、簡単に設立までの歴史を振り返ります。

 

予防接種による感染症、サリドマイドによる胎芽病、キノホルムによるスモンなどの健康被害が起きた時に、これらの責任を企業や国に求める裁判となりました。普段の裁判からもわかるように、これらの裁判では判決が出るまでにとても時間がかかりました。

 

裁判の判決が出るまでに時間がかかるということは、被害者にとって健康被害だけでなく、経済的に生活が苦しくなるという問題が発生しました。そのため、1979年に特別認可法人医薬品副作用被害救済基金が設立されました。

 

特別認可法人医薬品副作用被害救済基金は、1987年に医薬品副作用被害救済・研究振興基金となり、1994年に医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構に、さらに2002年には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency;PMDA)となりました。

 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の目的

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、許可医薬品等の副作用又は許可生物由来製品等を介した感染等による健康被害の迅速な救済を図り、並びに医薬品等の品質、有効性及び安全性の向上に資する審査等の業務を行い、もって国民保健の向上に資することを目的としています。

 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の業務としては以下のようなものがあります。

 

  • 健康被害救済;医薬品副作用被害救済制度、生物由来製品感染等被害救済制度、受託・貸付業務(スモン関係)、受託給付業務(HIV関係)
  • 医薬品等審査関連;新薬等の治験相談、医薬品医療機器等の審査、承認申請資料の同一性や信頼性の調査
  • 安全対策等;医薬品副作用報告の受理、医療機器不具合報告等の受理、安全情報の調査、安全情報の提供

 

これらの中で、特に医薬品の副作用による健康被害の救済である医薬品副作用被害救済制度、生物由来製品を介した健康被害の救済である生物由来製品感染等被害救済制度が独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のメインの業務となってくるので、次回みていきたいと思います。

 

まとめ

  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の主な業務に医薬品副作用被害救済制度、生物由来製品感染等被害救済制度がある

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薬害の原因と対策
過去の薬害には、ペニシリンショック死事件、サリドマイド薬害、スモン事件、薬害エイズ、ソリブジン事件、医原性クロイツフェルト・ヤコブ病などがあります。
PMDAと医薬品副作用被害救済制度
PMDAのメイン業務である医薬品副作用被害救済制度は適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限られます。またその他にも給付の請求を行うにあたり条件があります。

 
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