薬剤師が関わる法的責任のまとめ

Sponsored Link

薬剤師が関わる法的責任のまとめ

前回の薬剤師網領、薬剤師倫理規定、国際薬剤師・薬学連合薬剤師倫理規定、薬局業務運営ガイドラインとは?では薬剤師が守るべき倫理についてみました。では薬剤師がこれらの倫理的な問題や果たすべき責務ができなかったときはどのような罪に問われるのでしょうか?今回は薬剤師が法的責任で問われる可能性のあるものについてみていきたいと思います。

 

 

薬剤師が法的責任で問われる可能性のあるものには大きく3つあります。

 

  • 民法に基づくもの
  • 刑法に基づくもの
  • 行政法に基づくもの

 

Sponsored Link

Sponsored Link


 

民法に基づくもの

民法に基づくもの(民事責任)は主に損害賠償責任を追及され、話し合いなどで当事者同士の合意に至らない場合、裁判となります。民事責任で被害者が加害者に責任を求める場合以下のようなものがあります。

 

  • 不法行為責任
  • 債務不履行責任

 

不法行為責任

不法行為責任は、故意又は過失が原因で、第三者の権利や利益を侵害して、損害が生じた場合に生じます。例えば、調剤過誤をしてしまった場合などに問われるものが不法行為責任です。

 

不法行為があったことは訴えた側が証明しなくてはならないので、先ほどの例で言うと患者側が不法行為を証明する必要があります。そのため不法行為はいつまでも存在するわけではなく、不法行為のあった時から20年または損害及び加害者が知った時から3年を過ぎると時効となります。

 

債務不履行責任

債務不履行責任は、債務がきちんと行われなかった場合、相手側の原因で債務が行われなかった場合に生じます。例えば、医師の誤った処方箋を見過ごしてしまった場合などに問われるものが債務不履行責任です。

 

債務不履行責任がないことは、加害者側が証明する必要があります。先ほどの例で言うと薬剤師側がちゃんと処方箋チェックしたことを証明することが重要です。つまり疑義紹介や薬歴などの記載などで証明をする必要があります。

 

債務不履行責任も、権利を行使することができるようになってから10年を過ぎると時効となります。

 

刑法に基づくもの

刑法に基づくもの(刑事責任)は、故意による他社の生命、身体、財産に対する侵害した場合が与える罰となります。薬剤師が関わる刑事責任には以下のようなものがあります。

 

  • 業務上過失致死傷罪
  • 秘密漏示罪

 

業務上過失致死傷罪

業務上過失致死傷罪は、業務上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合などに適応される罪です。先ほどの調剤過誤の例では、民事責任は薬剤師VS患者側という形でしたが、刑事責任は国が与える罰なのでそこが違います。

 

秘密漏示罪

秘密漏示罪は、いわゆる守秘義務に関わり、薬剤師などが正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知った人の秘密を漏らした時に適応される罰です。

 

行政法に基づくもの

今までの民事責任や刑事責任に加えて行政法に関わるものもあります。

 

のちに出てくる薬機法では、無許可での薬の製造や、薬の不正表示などを禁止しています。これに違反した場合、医薬品製造販売業の許可の取り消しなどが行われることがあります。

 

その他薬剤師法により定められている薬剤師が行うべき業務に違反した場合などでは、薬剤師免許の一時停止や免許取り消しなどが行われることがあります。

 

まとめ

  • 薬剤師が関わる法的責任には、民事責任、刑事責任、行政法上の責任などがある

就職や転職でお悩みの方はコチラ!私はここで年収120万円上がりました

Sponsored Link

薬剤師が関わる法的責任のまとめ 関連ページ

ヒポクラテスの誓い、ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言とは?
過去の歴史から、ヒポクラテスの誓い、ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言などの医療倫理に関わる規定が作られ、インフォームドコンセントのもととなりました。
薬剤師網領、薬剤師倫理規定、国際薬剤師・薬学連合薬剤師倫理規定、薬局業務運営ガイドラインとは?
薬剤師の倫理に関わるものには、薬剤師網領、薬剤師倫理規定、国際薬剤師・薬学連合薬剤師倫理規定、薬局業務運営ガイドラインなどがあります。
個人情報の保護に関する法律
個人情報の保護に関する法律では、個人情報は生存する個人に関する情報と定められています。また、個人情報を得る場合は事前に本人に知らせることが定められています。
薬剤師をとりまく法の構成
法の構成は憲法を頂点としたピラミッド型となっていて、上位のルールに反するものは無効です。法律は国会、政令は内閣、省令は各省大臣、条例は地方自治体で定められます。
薬機法総論
薬機法の目的とは医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質、有効性、安全性の確保などを通して、保健衛生の向上を図ることです。
薬機法、薬局の定義と開設許可
薬機法では薬局は医薬品の調剤と販売をするところと定義されています。薬局の開設には都道府県知事の許可が必要で有効期間は6年です。
薬機法、薬局の開設者と管理者
薬局の開設者は薬剤師でなくてもなることができるが、薬局の管理者は薬剤師でなければならないと薬機法で決められています。また薬局の管理者はその他の薬関係の仕事を兼業することが禁止されています。
薬機法、一般用医薬品の違い
第一類医薬品は薬剤師のみ販売でき、文書などでの情報提供が必要です。第三類医薬品は情報提供に関する規定はないのが違いです。第三類医薬品はネット販売もできますが都道府県知事の許可が必要です。
薬機法、製造販売業の許可
製造販売業の許可は厚生労働大臣に受け、5年ごとに更新が必要です。製造販売業の許可基準には、GQP、GVP、申請者の人的要件などがあります。
薬機法、製造業の許可
製造業の許可は厚生労働大臣が、厚生労働省令で定める区分に従い、厚生労働大臣が製造所ごとに与えます。更新は5年ごとです。製造業の許可基準に、構造設備や申請者の人的要件などがあります。
薬機法、製造販売の承認
製造販売の承認は品目ごとに厚生労働大臣が与えるが、薬事食品衛生審議会の意見を聞いて行います。製造販売の承認基準には製造販売業の許可、製造業の許可、品質有効性安全性、GMPへの適合などがあります。
薬機法、再審査と再評価の違い
新医薬品や新医療機器は調査期間終了後に、再審査を受ける必要があります。再審査は新医薬品や新医療機器ですが、再評価は全ての医薬品や医療機器が当てはまり、何度でも行われるのが違いです。
薬機法、毒薬と劇薬の取り扱い
毒薬は黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び「毒」の文字、劇薬は白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び「劇」の文字。毒薬は鍵もかけて他の薬と区別して陳列します。
薬機法、医薬品の表示や広告
原則として薬機法で医薬品の表示は、その直接の容器又は直接の被包に記載する項目が薬機法で決まっています。薬機法では、虚偽や誇大な広告を禁止しています。

 
HOME プロフィール お問い合わせ