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小児への漢方薬の飲ませ方
前回の漢方の副作用、麻黄、甘草、附子、大黄では、漢方の副作用について見ました。今回は漢方の服用に関する注意点をまとめます。
小児量
漢方を小児に用いる場合、一般的な薬と同じように用量を少な目にするのが原則です。目安となるのが、年齢と体重となります。
- 年齢で考えるのであれば、1歳半なら成人の1/4量、3歳なら1/3量、7歳半なら1/2量が目安。
- 体重で考えるのであれば、体重50kgを成人量として、17kgなら1/3量、25kgなら1/2量が目安。
小児への漢方薬の飲ませ方
1歳未満の乳児であれば、味覚があまり発達していないので、白湯やミルクに溶いて哺乳瓶から飲ませるのが簡単です。
一歳以上の幼児は、以下の方法があります。
- ジュース、ミルク等に溶かす
- ジャムやゼリーに混ぜる
- お薬飲めたねゼリーなどを使う
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効果的な服用方法
漢方薬をより効果的に服用するには一般的なエキス剤を白湯に溶かして飲みます。インスタントコーヒーのようにカップ半分くらいの適量の熱湯にエキス剤を溶かして飲むことで以下のようなメリットが得られます。
- 体が温まる
- 有効成分の吸収が早くなる
- 漢方薬の味や香りの効果を感じられる
その他にも生姜汁に混ぜて飲む方法もあります。生姜に含まれる成分(ジンゲオール、ショウガオールなど)には吐き気を止める作用や、体を温める作用があります。
しかし、これらの生姜に含まれる成分は揮発性があり、エキス剤を作る過程でだいぶ失われてしまいます。そのため、漢方薬のエキス剤(葛根湯、香蘇散、小半夏加茯苓湯、呉茱萸湯、半夏瀉心湯、半夏厚朴湯など)でもともと生姜を含んでいるものに新鮮な生姜のしぼり汁を小指の頭くらいの大きさ分加えて補強します。
漢方を食後に飲んでも良いのか
漢方薬は一般的に食前や食間に飲みます。これは漢方薬の多くは植物成分からできていて、それが腸内細菌によって分解されて体内に吸収されるからです。そのため、他の食べ物と競合しないように空腹時に飲んだ方が良いと考えられています。
しかし、実際は食前食後で効果に大きな差はないため、飲み忘れたり、空腹時の内服で胃がもたれるような場合は食後服用で問題ありません。
まとめ
- 漢方を小児に用いる場合は、年齢や体重をもとに少なめに出すのが一般的。
- 漢方を小児に飲ませるには、甘いものなどを用いると飲ませやすい。
- 成人の場合は、漢方を白湯に溶かして飲むと効果的。
- 漢方を食前で飲み忘れる場合や胃がもたれる場合は、食後服用でも問題ない
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