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調剤基本料各論、妥結率と減算
調剤基本料は、調剤できる体制に対して支払われる費用のことです。調剤基本料は処方箋の枚数に関係なく、処方箋の受付1回につき算定され、1ヶ月の処方箋受付回数や処方箋の集中率などによって点数が区分されます。
調剤基本料は原則として4/1から翌年の3/31まで同じ点数を算定します。
- 調剤基本料1;42点
- 調剤基本料2;26点
- 調剤基本料3のイ;21点
- 調剤基本料3のロ;16点
- 調剤基本料3のハ;32点
- 特別調剤基本料;7点
イメージとしては、小さい薬局が調剤基本料1で、点数が低くなるにつれて大手のグループ薬局になる感じです。
調剤基本料1
- 調剤基本料2、調剤基本料3のイ、調剤基本料3のロ、特別調剤基本料いずれにも当てはまらない保険薬局
もしくは以下の条件で地方厚生局長に届け出た場合でも算定できます。
- 基本診療料の施設基準等の別表で規定されている地域であること(医療資源の少ない地域)
- 保険薬局がある区域内の保険医療機関(歯科医療のみを担当するものは除く)が10以下であり、その病床数が200床未満であること
- 処方箋の受付回数が一ヶ月2500回を超えないこと
調剤基本料2
- 処方箋の受付回数1ヶ月4000回超、かつ集中率70%
- 処方箋の受付回数1ヶ月2000回超、かつ集中率85%
- 処方箋の受付回数1ヶ月1800回超、かつ集中率95%
- 特定の保険医療機関に関わる処方箋の受付回数 (保険薬局の所在する建物内に複数の保険医療機関があるときは、それを全て合わせた受付回数とする)が1ヶ月4000回超
調剤基本料3のイ
同一グループの保険薬局の処方箋の受付回数の合計が
- 月35000〜40000回以下のグループに属する保険薬局のうち、集中率95%超又は特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引がある
- 月40000〜400000回以下のグループに属する保険薬局のうち、集中率85%超又は特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引がある
調剤基本料3のロ
同一グループの保険薬局の処方箋の受付回数の合計が1ヶ月400000回超又は同一グループの薬局数が300以上のチェーン店で、以下のどちらかに当てはまる場合
- 集中率が85%以上
- 医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある
調剤基本料3のハ
調剤基本料2、3のロ、特別調剤基本料に該当するものを除く、次のいずれかに当てはまる場合
- 同一グループの薬局における処方箋の受け付け回数の合計が月40万回超又は同一グループの薬局数が300以上のチェーン店で集中率85%以下
特別調剤基本料
- 病院と不動産取引等の特別な関係を持っていて、その病院の処方箋集中率70%超の保険薬局
- 地方厚生局長に届け出をしていない
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減算
処方箋の受付回数が1ヶ月に600回以下の保険薬局以外で、以下のどれかに当てはまるときは点数を半分にします。
- 薬剤師のかかりつけ機能に関わる基本的な業務を1年やっていない
- 医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率、一律値引き契約などを地方厚生局長に報告していない
- 医療用医薬品の取引価格の妥結率が50%以下
薬剤師のかかりつけ機能に関わる基本的な業務とは
国はかかりつけ薬剤師の方針を強めています。そのため、かかりつけの仕事をしなければ、ペナルティというルールにしています。
薬剤師のかかりつけ機能に関わる基本的な業務は以下の点数を算定するときの業務のことをさします。
- 時間外加算等
- 夜間・休日等加算
- かかりつけ薬剤師指導料
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 外来服薬支援料1
- 服用薬剤調整支援料
- 服薬情報等提供料
- 麻薬管理指導加算
- 重複投薬・相互作用等防止加算
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算
- 介護予防居宅療養管理指導費
- 居宅療養管理指導費
- 退院時共同指導料
これらが1年間に10回未満だと減算となります。
またかかりつけ薬局推進のために、複数の保険医療機関から処方箋を同時に受け付けた場合、受け付け回数が2回目以降の調剤基本料は、処方箋の受付1回につき所定点数の80/100の点数となります。これは強調させてもらったように、「同時」でなくてはなりません。例えば、午前に1枚目を受け付けて、午後に2枚目を受け付けたとしても算定できません。かかりつけ薬局を推進するなら、これくらいいいだろうと思いますが、ダメなので本当に謎ルールです。
妥結率とは
保険薬局が卸から薬を買う時は、薬価で買います。しかし卸も色々な会社があり、なるべく自分のところで買ってほしいとなるわけです。そうなると「これだけ安くするから、うちで買ってくれませんか?」と値引きの話が出てきます。その値引きされた価格が決まっていることを妥結すると言います。
しかし時には、その値引き率がたいしたことないことがあり、交渉成立しないことがあります。これを未妥結と言います。未妥結になると、とりあえず薬価で買って後から再び交渉して値引き率を決めます。
国が薬価を決める時に、この値引きされた価格(実勢価格と言います)をもとに、決めていくので未妥結のままだと、正確なデータが集まらないわけです。よって、妥結率が低い保険薬局は減算されてしまうというわけです。
受付回数や集中率の判定
冒頭で、サラッと調剤基本料は原則として4/1から翌年の3/31まで同じ点数を算定すると言いました。この算定を受けるための受付回数や集中率はどの期間のものを提出すればよいでしょうか。これは大きく2パターンに分けられます。
- 1年以上継続している薬局
- 新規薬局
いずれにしても、提出したものが判断されるまでは、調剤基本料1に該当しているものとして取り扱います。ただし、不動産の賃貸借取引がある等が該当するときは、調剤基本料3のイ、又はロとなります。
1年以上継続している薬局
1年以上続いている薬局であれば、前年の3月1日から当年の2月末日までの1年間の記録をもとに算定します。
算定は、当年4月1日から翌年3月末日までです。
新規薬局
新規薬局は面倒でさらに2つにわけられます。
- 前年3月1日から前年11月末日までに保険薬局として新規指定された。
- 前年12月以降に保険薬局として新規指定された。
前年3月1日から前年11月末日までに保険薬局として新規指定された。
指定された日の月の翌月1日から当年2月末日までで判定します。
算定は、当年4月1日から翌年3月末日までです。
前年12月以降に保険薬局として新規指定された。
指定された日の月の翌月1日から3か月間のもので判定します。
算定は判定される3ヶ月の最終月の翌々月1日から翌年3月末日までです。表現が複雑なので図を見てください(笑)
妥結率の判定
同じく妥結率の報告期間は、当年4月1日から9月末日までとなっています。
適応されるのは、翌年4月1日から翌々年3月末日までです。
こちらも当年4月2日以降に新規に保険薬局に指定された場合は翌々年3月末日までは妥結率が50%を超えているととみなされます。
まとめ
- 調剤基本料は調剤できる体制に対する点数
- 調剤基本料は受付回数や集中率などにより点数が異なる。
- 国の方針などに反するとペナルティとなり、減算されてしまうため注意が必要。
調剤基本料各論、妥結率と減算 関連ページ
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