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セルフメディケーションの対象となる湿疹やかゆみとOTC
服薬指導中に患者に併用薬を聞くと、意外と湿疹やかゆみに使われるOTCを使っていることが多く、それだけ多くの患者にとって悩みの種となっています。今回は湿疹やかゆみに使われるOTCの成分について見ていきます。
まずはじめに皮膚の構造について見ていきます。
皮膚の構造
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層からなります。
表皮の一番外側の角質層にはセラミドがあり、異物の侵入を防いだり、水分の蒸発を防いだりする働きをしています。
真皮にはコラーゲンなどが存在し、肌の張りや弾力を保っています。また真皮には神経終末、皮脂腺、血管なども存在します。
皮下組織は、皮下脂肪があり、外部の衝撃を和らげるクッションの働きをしています。
これらの構造がありますが、乾燥肌やアレルギー体質などによって皮膚のバリア機能が低下します。そうすると、外部からの異物は簡単にバリア機能を通過してしまい、湿疹が起こってしまいます。その他にも知覚神経が刺激されてかゆみが生じます。これらの症状が起こる疾患には、以下のようなものがあります。
- 接触皮膚炎;原因物質が皮膚に触れることで起こる炎症。かぶれのこと。
- アトピー性皮膚炎;かゆみを伴う皮疹が全身に現れ、良くなったり悪くなったりを繰り返す。湿疹は左右対称に現れることが多く、患者に家族歴を持つことが多い。
- 蕁麻疹;皮膚の一部が突然赤く盛り上がる膨疹が現れ、多くがかゆみを伴う。
- 虫刺され;蚊などの生物に刺されたりすることにより、皮膚に炎症が起こり、かゆみや痛みなどを伴う腫れができる。
- あせも(汗疹);多量の汗をかいた後に、かゆみや赤いブツブツ、小さい水ぶくれができる。夏場や小児に多い。
- 手湿疹;手のみに起こる湿疹。頻回の手洗いや洗剤などの使用により皮膚のバリア機能が低下して手のひらや指に炎症が起こる
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受診勧奨すべきかゆみや湿疹
- 全身性の発疹や痛みを伴う場合
- かゆみ、発疹以外の合併症や既往歴(特にアトピー性皮膚炎)、家族歴がある場合
- 疾患部位の感染症がある場合
- 皮膚の湿潤、ただれがひとい場合
アトピー性皮膚炎はOTCでセルフメディケーションできないので注意しましょう。
湿疹やかゆみに使われるOTCの成分
抗炎症薬
ベタメタゾン吉草酸エステル、フルオシノロンアセトニド
- ストロングのステロイド
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル
- ミディアムのステロイド
ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン
- ウィークのステロイド
ウフェナマート
- NSAIDsであり、過剰に産生されたプロスタグランジンの合成を阻害して、腫れや痛みを抑制
かゆみを抑える成分
ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン
- 抗ヒスタミン薬。ヒスタミン受容体を阻害してかゆみを抑える
クロタミトン
- かゆみを打ち消す作用
リドカイン
- 局所麻酔。かゆみの伝達を抑える
二次感染防止
イソプロピルメチルフェノール、ベンザルコニウム塩化物、フラジオマイシン硫酸塩、オキシテトラサイクリン塩酸塩
- 掻き壊しによる二次感染の防止
外用薬の選択
症状がかゆみのみで、炎症がほぼ見られなければ、抗ヒスタミン薬を選びます。
かゆみ以外にも赤みや腫れが伴う場合は、炎症が軽めならNSAIDsを、炎症が強めならステロイドを選びます。
さらに患部が乾燥している場合ではどの剤形でもよいですが、湿潤している場合はクリームやローションより、刺激性の少ない軟膏の方が適しています。
疾患別の薬の選択
接触皮膚炎
患部に対しては、ステロイドやNSAIDsを選びます。掻かずにいられないような、ひどいかゆみの場合には抗ヒスタミン薬の内服薬も選択します。
蕁麻疹
かゆみが軽い場合には抗ヒスタミン薬の外用薬、かゆみが強ければ内服薬を選びます。掻き傷によって湿疹が出た場合にはステロイド外用薬を使います。
虫刺され
蚊やノミなどによる虫刺されで、かゆだけなど軽度の場合は、基本的に抗ヒスタミン薬を含有する外用薬を選びます。
毛虫やムカデ、クラゲなどに刺されて赤く腫れたり、かゆみのぶり返しの場合にはステロイドを含有する外用薬を選びます。
あせも(汗疹)
かゆみを抑える抗ヒスタミン薬や局所麻酔薬を含有する外用薬を選びます。紅色汗疹のようにかゆみや炎症を伴っている場合には酸化亜鉛などの収れん薬が有効です。
手湿疹
バリア機能が低下した皮膚を保護するために、尿素やワセリンを含んだ外用薬を選びます。湿疹やかゆみがひどい場合にはステロイドを含有する外用薬を選びます。
まとめ
- アトピー性皮膚炎が疑われる場合は受診勧奨
- 症状がかゆみのみで炎症がなければ抗ヒスタミンの外用薬、かゆみ以外にも赤身や腫れがあり炎症が軽めならNSAIDsの外用薬、炎症が強ければステロイド外用薬
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