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患者さんと話すときは、専門用語を避けよう。その1
患者さんと話をする上で、薬剤師が意識しなければならないことは、優しい言葉を使うことです。ここでいう優しい言葉とは、思いやりとかそういうことではなく、理解できる言葉で話すことが必要です。
極端な例として、
薬剤師「こんにちは、新しい薬が追加になってますが、今日はHbA1cが上がりましたか?」
患者「・・・」
薬剤師「今日はトラゼンタ(リナグリプチン)という薬が出ています。この薬はDPP-4阻害薬と言って・・・」
おそらくこれでは、患者は理解することができません。専門用語を使っているからです。医療人どうしであれば、専門用語は業務を効率的に進めたり、深いコミュニケーションを取るために効果的ですが、患者さんは基本的には素人です。短い時間で患者さんの理解度を把握することはとても難しいですが、基本的には知っていないことを前提に話すべきでしょう。
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患者さんが専門用語を知らないパターンには大きく2つわけられます。
- 言葉そのものがわからない。
- 言葉の理解が不十分であったり、間違った情報で理解している。
言葉そのものがわからなければ、患者さんも理解しようと一生懸命聞いてくれるので、はじめから説明すればよいです。しかし2つ目の中途半端な理解だと、「もう知ってるよ」という感じになり、聞き流されたり誤解が生じる可能性があるため注意が必要です。
日常的によく使われる専門用語には以下のようなものがあります。
- 悪性腫瘍
- イレウス
- インスリン
- インフォームドコンセント
- ウイルス
- うっ血
- うつ病
- ADL
- エビデンス
- MRI
- MRSA
- 炎症
- 黄だん
- 介護老人保健施設
- ガイドライン
- 潰瘍
- 化学療法
- 合併症
- 寛解
- 肝硬変
- 緩和ケア
- 既往歴
- QOL
- クリニカルパス
- グループホーム
- 膠原病
- 抗体
- 誤嚥
- COPD
- 腫瘍
- 腫瘍マーカー
- 重篤
- ショック
- 浸潤
- 腎不全
- ステロイド
- 生検
- セカンドオピニオン
- ぜん息
- せん妄
- 尊厳死
- 対症療法
- 耐性
- 治験
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 頓服
- 熱中症
- 脳死
- 敗血症
- 貧血
- 副作用
- プライマリーケア
- PET
- ポリープ
- メタボリックシンドローム
- 予後
長くなるので、今回は「あ行」のものをまとめます。
あ行
悪性腫瘍
腫瘍のうち、大きくなってまわりに広がったり、違う臓器に移ったりして、命に危険が及ぶ可能性のあるもののこと。
イレウス
腸の一部が詰まって、食べものやガスが通らなくなっている状態。
インスリン
膵臓で作られるホルモンで、血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用する際に必要。そのため不足したり、働きが低下すると、糖尿病になる。
インフォームドコンセント
治療法などについて、医師から十分な説明を受けた上で、患者が正しく理解し納得して、同意すること。
ウイルス
病原体の1つで、細菌とは異なる。細菌は自分で増えることができるが、ウイルスはほかの生物の中で増えて、病気を引き起こす。細菌には抗生物質は効くが、ウイルスには効かない。
うっ血
静脈の血が異常に多くたまった状態のこと。血液の流れが妨げられたり、心臓の働きが弱ったりしたときに起こる。
うつ病
心が風邪をひいているような状態。内向的になり、意欲を示さなくなる心の病気。だれでもがなる可能性がある病気の一つ。
ADL
Activities of Daily Livingの略語。日常生活のいろいろな動作と訳される。日常生活のいろいろな動作とは、例えば、寝起きや移動、トイレや入浴、食事、着替えなど。高齢者や障害者の身体能力や障害の程度をはかる重要な指標となっている。
エビデンス
薬や治療方法、検査方法などについて、それがよいと判断できる証拠のこと。
MRI
Magnetic Resonance Imagingの略語。磁気共鳴画像と訳される。磁気を利用して、からだの中から必要な情報を拾い出して体の断面図を映します。
MRSA
Methicillin-resistant Staphylococcus Aureusの略語。メチシリン耐性黄色(おうしょく)ブドウ球菌と訳される。メチシリンという抗生物質が効かなくなった、黄色ブドウ球菌のこと。この菌はどこにでもいて、消毒剤への抵抗性が強く、消し去ることがとても困難。健康な人には無害だが、病気などで抵抗力の弱った人の体に入ると、病気が重くなることがある。
炎症
細菌やウイルスと、からだを病気から守る白血球が戦うと、赤くなったり熱を持ったりすること。
黄だん
肝臓や血液の異常で、ビリルビンという物質が増加して、皮膚や白目の部分が黄色くなること。肝臓で作られる胆汁が血管の中に流れ込んだり、血液が壊れたりすることによって起こる。
つづきは、患者さんと話すときは、専門用語を避けよう。その2でまとめます。
まとめ
- 患者と話すときは、なるべく専門用語を使わないように心がける。
- 短い時間で患者の理解度を把握し、理解度にあった話をする。
患者さんと話すときは、専門用語を避けよう。その1 関連ページ
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