アレルギーやアナフィラキシーの注射薬について学ぶ。

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アレルギーやアナフィラキシーで使われる注射薬、エピペン、サクシゾン、ポララミン、ネオフィリン、イノバン

アレルギーとアナフィラキシー、原因と症状と対策のページにあるように、アナフィラキシーショックを起こすと生命の危機となりうるので、注射薬などで治療をしなければなりません。今回はそれらの薬を見ていきます。

 

 

院内の採用により多少は異なるかと思いますが、アナフィラキシーショックに使われる薬として以下のような薬があります。

 

  • エピペン(アドレナリン)
  • サクシゾン(ヒドロコルチゾン)
  • ポララミン(クロルフェニラミン)
  • ネオフィリン(アミノフィリン)
  • イノバン(ドパミン)

 

医師がこれらの薬を状態に合わせて使っていきます。

 

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エピペン(アドレナリン)

エピペン(アドレナリン)心臓のβ1を刺激して、心拍出量を高める作用があります。また血管のα1刺激作用もあり、血管収縮作用もあります。他にも気管支のβ2を刺激し、気管支拡張したり、肝臓のβ2刺激によるグリコーゲン分解による血糖値上昇作用などももっています。

 

特徴
  • アドレナリンを含有する注射針一体型の自己注射製剤。
  • 注射後も1.7mlの残液が残るが二度打ちはできない。
  • 初期症状が発現し、ショック症状が出る前の時点や、過去の経験から異常を感じたタイミングで投与する。
  • 大腿部の前外側から注射し、緊急時には衣服の上から注射も可能。

 

 

用法用量

0.01mg/kgが推奨用量であり、体重を考慮して0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する。

 

サクシゾン(ヒドロコルチゾン)

サクシゾン(ヒドロコルチゾン)はいわゆるステロイドに分類され、少量ではホルモンとしての作用を示しますが、大量では抗炎症・抗アレルギー・免疫抑制作用を示します。

 

特徴
  • サクシゾン(ヒドロコルチゾン)の高容量は急性循環不全及びショック状態における救急に用いられる。

 

用法用量
  • 1回250〜1000mgを緩徐に静注又は点滴静注する。症状が改善しない場合は適宜追加投与する。

 

ポララミン(クロルフェニラミン)

 

特徴
  • 中枢内のヒスタミンH1受容体遮断により眠気などが起こりやすい。
  • 抗コリン作用も持つため緑内障前立腺肥大などがある場合は禁忌。

 

用法用量
  • 1回5mgを1日1回皮下又は筋肉内又は静脈内注射する。適宜増減。

 

ネオフィリン(アミノフィリン)

ネオフィリン(アミノフィリン)はキサンチン誘導体に分類されます。気管支の平滑筋はcAMPという物質により弛緩しますが、cAMPはホスホジエステラーゼにより分解されてしまいます。ネオフィリン(アミノフィリン)の作用の1つに、このホスホジエステラーゼを阻害する作用があります。よってcAMPが増えるため、気管支平滑筋が弛緩するという作用になります。

 

特徴
  • 気管支拡張作用により呼吸困難の改善に用いられる。
  • アンプル、プラスチックアンプル、点滴静注バックなど種類がある。

 

用法用量
  • 250mgを1日1〜2回生食又は輸液に希釈して静脈内に緩徐に注入する。

 

イノバン(ドパミン)

イノバン(ドパミン)はノルアドレナリンの前駆物質であり、中枢神経の黒質-線条体系の神経伝達物質でもあります。よって主にα1、β1、D1、D2受容体の刺激作用があります。このことから、イノバン(ドパミン)は用量によって作用が変わってくる薬です。

 

特徴
  • 用量によって、作用が変わってきます。(以下参照)

 

用法用量

(希釈が必要なら希釈して)1〜5μg/kg/分を持続静脈投与。適宜増減だが、20μg/kg/分まで。

 

 

  • 1〜3μg/kg/分(低用量)では、腎血管のD1受容体に作用して、腎血管を拡張し腎血流量が増えます。(尿量の増加)
  • 3〜10μg/kg/分(中用量)では、心臓のβ1受容体に作用して、心筋収縮力を高め、心拍出量が増えます。(血圧の上昇、頻脈)
  • 10μg/kg/分(高容量)では、α1作用がD1作用やβ1作用より優位となり血管収縮が起こります。(さらに血圧上昇)

 

まとめ

  • エピペン(アドレナリン)はアナフィラキシーの初期段階で使う。
  • サクシゾン(ヒドロコルチゾン)は免疫抑制作用
  • ポララミン(クロルフェニラミン)は抗ヒスタミン作用
  • ネオフィリン(アミノフィリン)は気管支拡張作用
  • イノバン(ドパミン)は循環や血圧を保つ。

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輸液が必要な患者とは
薬剤師や新人や実習生の人は注射や輸液のことをあまりわかっていないです。輸液はなんらかの理由で経口不可の状態のために行い、不足している水や電解質、栄養を補充します。
輸液を投与する経路
輸液の投与経路は、末梢静脈、中心静脈があります。末梢静脈であれば第一選択として腕で、次に脚が選ばれることが多いです。中心静脈は、高カロリー輸液をいく場合などに選ばれます。
輸液で使われる器材を知る。
輸液ポンプ、シリンジポンプ、中心静脈カテーテル、フィルターなど様々な器材が、患者の病態や状況によって組み合わあされて薬液が投与されます。薬剤師でも最低限のことは知る必要があります。
輸液は何の目的でするのか
輸液は、生命を維持したり、不足しているものを補うために行います。生命を維持するには、維持液がよく使われます。不足しているものを補うには、末梢静脈栄養と中心静脈栄養があります。末梢静脈栄養は手技がやさしく、感染のリスクが少ないのがメリットです。しかし高いカロリーが投与できません。中心静脈栄養は高カロリーが投与できます。
ヒトの水分を学ぶ。脱水、溢水をメインに。
ヒトの60%は水分でできています。その60%のうち、20%が細胞外液で40%が細胞内液となっています。脱水は主に水分欠乏性脱水とナトリウム欠乏性脱水にわけられ、水分欠乏性脱水では5%ブドウ糖液が、ナトリウム欠乏性脱水では生理食塩水やリンゲル液が使われます。溢水はむくんでいる状態で、特に下腿にむくみがでてきます。
ナトリウムと水分の関係。
ナトリウムは135〜145mEq/Lが基準値となります。この基準からずれたときは、ナトリウムを考えるだけでなく、水分も考える必要があり、補正する場合も橋中心髄鞘崩壊症が起こる可能性があるため、急に補正をかけてはいけません。
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カリウムは細胞内に多く存在し、神経や筋肉が働くのに必要な電解質です。基準値は3.5〜5mEq/Lで、基準値以外にも、心電図でモニタリングすることが重要です。
輸液製剤は5つの分類わけから始めよう
実習生や新人が輸液製剤を考える上では、カリウム、ナトリウム、糖の有無をまず考えます。そして輸液製剤は、電解質輸液、5%ブドウ糖液、高カロリー輸液、電解質補正液、血漿増量剤の5つの分類にわけられます。
輸液量は3つの要因で決まる。
輸液量は、3つの要因で成り立つ式で決まる。維持輸液量は生命を維持するのに必要な水分量で、水分のバランスである。補充輸液量は失った体液に近い組成のものを投与する。安全係数は2日〜3日かけて投与することを意味する。
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輸液の量を決めたら、速度を決めます。速度は2のべき乗の法則をもとに、病態、年齢、体重をもとに医師から指示が入ります。次に、滴数を決めます。これには輸液セットが関わり、現在は20と60があります。
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手術をする前には、禁飲食となるので、脱水を予防するために、術前や術中に輸液が必要となります。輸液する量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースへの移行などをもとに決められます。
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